【資格集】世界で戦うグリーンエンジニアリングの主役!施工管理技士

発展途上国

本記事では世界的にニーズが拡大しているグリーンエンジニアリングの代名詞とも言える『施工管理技士』資格について活躍事例や取得の仕方について解説しています。

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施工管理技士とは

施工管理技士は国内技術系資格の最高峰です。
一級、二級の等級に分かれ、技術士資格のように部門が複数に分かれています。土木、管工事、電気工事、電気通信、造園などがあります。本記事では特にグリーンエンジニアリングの領域との関りが深い部門について解説していきます。


土木施工管理技士は河川整備、道路、ダム、トンネルといった大規模な社会インフラ工事を取り仕切る非常にスケールの大きい役割を担います。その他にも環境プラント(水・廃棄物・エネルギー)のエンジニアとしての活躍の道もあり、環境・グリーンエンジニアリング分野の最高峰資格と言えます。

業務内容は幅広く、施工計画、工程管理、品質管理、予算管理、工事全体の安全管理、監督など、まさに大規模工事の現場管理者です。この資格は一度とれば永久的に持ち続けることができキャリアの初期はほとんどが工事現場に出て、施工管理を行うことになりますが、仮に現場にでなくなったとしても、施工計画の策定、後輩の技術指導など市場ニーズは高いままで一生付き合っていける資格です。
また、国内に限らずJICA等の海外プロジェクトに参加する機会もあり途上国のインフラ開発に関わるなど、グローバルで活躍が期待できる資格でもあります。

慢性的に資格者が不足しており、ゼネコン、建設コンサルタント、メーカー、自治体など企業規模問わずいろいろな業界で資格者を優遇募集しています。社内における資格取得支援も非常に熱心です。

ダム発電所

気候変動・防災に取組む実務者

現在『気候変動・防災』が大きなテーマとなっています。気候変動対策はこれからの日本のサステナブルビジネスにおいて大変重要な役割を果たします。

持続可能社会を脅かす自然災害2020年7月に九州を大変な豪雨が襲い、多くの方が河川の氾濫で命を落とされました。翌年の東日本台風では、長野県で堤防が決壊し、超広範囲で浸水被害が発生しました。

関東でも荒川、利根川が一時は堤防決壊の可能性もあり、もしそうなれば日本の心臓部は大打撃を受け、その時点でオリンピック話は消えていたはずです。

そして2022年の夏も、九州北部で線状降水帯が発生し再び記録的な豪雨をもたらしています。

『〇〇年に一度の災害』という言葉を毎年のように聞きますがそれほどに現在は過去と比較して異常な気象状態に突入しています。

河川工事

気候リスク世界TOPクラスの日本

世界の気候変動リスク調査(Global Climate Risk Index 2021)によると日本は世界第4位のリスク国と言われています。なぜこのような災害が頻発するのでしょうか。
理由は二つ

日本の社会インフラの老朽化と気候変動による猛烈な豪雨です。
インフラ被害は今後もますます増えていくことが予想されます。

この気候変動の具体的な対策とビジネスは
影響をどう緩和させるのか『緩和ビジネス』
気候の変化にいかにして適応するのか『適応ビジネス』
この2つに大別されます。

社会に必要なインフラ施設をつくるこの仕事は、老朽化していく建築物を建て直すだけでなく相次ぐ自然災害で破壊されるインフラを修理することで、人々の生活を守る仕事です。

また、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)を背景に『自然環境保全』『緑化』『生物多様性』などの緑の分野も今後活気付いていく見通しですので活躍の場はさらに広がると言って間違いないでしょう。

世界に広がる環境プラント事業

ゼネコンや建設コンサルなどの土木系以外にもメーカーやプラントエンジニアリングにおいても施工管理技士は力を発揮します。

水、廃棄物処理、土壌汚染浄化、再エネ発電など、環境・社会にとって重要なインフラ施設である各種環境プラントの設備維持・改造工事業務です。工程全体を管理する技術者として、数十億円規模の大規模施設の工事を手掛けることも珍しくありません。環境プラントも老朽化で維持管理や改修工事がありますので常に安定的な業務があります。

冒頭述べたように活躍の場は海外に広がっています。海外ではまた異なる資格が優遇されることもありますのでまた別途記述しますが、多言語でのコミュニケーションと施工管理技士の資格が合わさればこの業界において職を失うということはまずないでしょう。世界中がグリーンエンジニアを求めています。

高速道路工事
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サステナブル・環境の業界における施工管理技士

冒頭述べたように施工管理技士は幾つかの部門がありますが、本記事ではグリーンエンジニアリングに強く関係する土木施工管理技士、管工事施工管理技士、電気工事施工管理技士の3つについてまとめて紹介していきます。一級であれば、会社規模で多少の差はあるにせよ万単位/月の資格手当が出ているのが一般的です。

土木施工管理技士の仕事と資格の取り方

土木施工管理技士は、国土交通省が管轄する国家資格です。
土木工事にあたって施工計画を立案し、工事の現場で指揮管理を行う技術職であり、1級、2級の区分があります。1級はすべての土木工事で主任技術者(監理技術者)になることができ、2級は土木、鋼構造物塗装、薬液注入に分かれ、それぞれの種の土木工事の主任技術者になれます。いずれも担当する土木工事の施工計画を作成し、現場における工程管理、安全管理などの指揮管理を行う仕事です。

働き方
土木工事とは、河川の堤防や護岸、ダム、道路、橋梁、港湾、トンネル、埋め立て・干拓、鉄道、上下水道などの工事を指します。多くの現場で複数の業者と多数の作業員が関係するので、安全に注意しながら、全体の進捗管理を行うのが土木施工管理技士の職務です。現場の作業員に直接指示するのではなく、現場工事の責任者に指示を与えます。工事の進捗は天候に左右され、悪天候は安全性を脅かすこともあるので気象の変化に気を付けなくてはなりません。

仕事中はヘルメットをかぶって現場を歩いて監督します。
土木工事が必要な場所は辺鄙な場所であることも多く、大型の土木工事の場合は、長期にわたり現地の仮設住宅(プレハブ)で暮らすことになる。現地住民との関係を良好に保つために、地元の集会に出かけてコミュニケーションを図ることもザラです。

資格の取り方
土木施工管理技士試験には、学科と実地があります。1級の学科試験(マークシート方式)は土木工学等、施工管理法、法規が試験科目となります。実地試験は学科合格者等が受験でき、施工管理法に関する記述式の筆記試験があります。2級は学科試験・実地試験を同時に行われ、学科はマークシート方式で
土木工学等、種別ごとの施工管理法、法規が試験科目となります。
実地試験は種別ごとの施工管理法に関する記述式の筆記試験となっています。土木施工管理技士資格試験を受験するためには実務経験が必要です。

1級、2級ともに学歴と実務経験の年数によって受験資格を規定しています。
たとえば2級を受験するためには、大学の指定学科卒業生は1年以上の実務経験で受験でき指定学科とは土木工学、都市工学、衛生工学、交通工学、及び建築学に関する学科等があります。それ以外の学科卒業生は1年6か月以上の実務経験が必要となります。

試験日は2級土木施工管理技士は10月下旬、1級土木施工管理技士は学科試験が7月初旬、実地試験が10月初旬に行われます。受験資格等詳細は一般財団法人全国建設研修センターのホームページを参照ください。

資格取得を目指す人への強い味方

電気工事施工管理技士の仕事と資格の取り方

電気工事施工管理技士は、国土交通省管轄の国家資格です。
電気工事にあたって施工計画の立案、施工図の作成、工事現場での管理を行う技術職であり、1級、2級の区分があります。

1級電気工事施工管理技士は、一般建設業及び特定建設業の営業所で専任技術者の職につくことができます。また2級電気工事施工管理技士は、一般建設業の営業所で専任技術者の職につく事ができます。1級、2級ともに、建設工事現場に必ず置かなければならない主任技術者の資格です。また、1級電気工事施工管理技士であると元請負の特定建設業者が当該工事を施工するために締結した下請契約の請負代金総額が3000万円以上の場合に必要となり、専任の監理技術者となることができます。

電気設備の規模に関係なく、工事の技術的な管理をするのが、電気工事施工管理技士です。具体的には品質レベルを確保する「品質管理」、労働災害を防止する「安全管理」、予定の工期で完成させる「工程管理」を行います。電気工事は電気工事施工管理技士が担当し、建築物全体の施工スケジュールを把握して、施工計画作成から竣工引渡しまでの電気工事全般を管理します。

資格の取り方
電気工事施工管理技術検定試験には、学科試験と実地試験があります。
学科試験は1級、2級ともに電気工学等、施工管理法、法規。実地試験は施工管理の筆記試験です。電気工事施工管理技士の受験には実務経験が必要です。

1級、2級ともに学歴または資格と実務経験の年数によって受験資格を規定しています。
2級試験を受験するためには、大学の指定学科卒業生の場合は1年以上の実務経験で受験できます。
それ以外の学科卒業生は1年6か月以上の実務経験が必要です。

また、学歴に問わず実務経験の年数によって受験資格が与えられます。1級学科を受験するには、大学の指定学科卒業生の場合は3年以上の実務経験。それ以外の学科卒業生は4年6か月以上の実務経験が必要となります。2級と同様に学歴に問わず実務経験の年数に応じて受験は可能です。1級実地試験は1級学科合格者、または実務経験を有し、なおかつ技術士第二次試験合格者

『電気電子部門、建設部門、総合技術監理部門(選択科目が電気電子部門または建設部門)』が受験できます。
2級電気工事施工管理技士の試験日は11月初旬、
1級の試験日は学科試験が6月初旬、実地試験が10月中旬に行われます。
詳細情報は、一般財団法人建設業振興基金のホームページをご覧ください。

資格取得を目指す人への強い味方

管工事施工管理技士の仕事と資格の取り方

管工事施工管理技士は、国土交通省が管轄する国家資格です。住宅、ビル、工場などの建設物にはガス配管、上下水道管、空調ダクトなどの「管」が通っています。この管に関する工事の施工計画を立案し、工程、品質、安全などを管理・監督するのが管工事施工管理技士です。

1級、2級の区分があります。
1級有資格者は、建設業法が定める、特定建設業の営業所に置かなければならない専任の技術者や、
工事現場ごとに置かなければならない主任技術者および監理技術者になることができます。
2級有資格者は、
建設業法が定める一般建設業の営業所の専任技術者や、工事現場における主任技術者となることができます。
なお監理技術者とは、外注総額3000万円以上の工事の時に現場に配置する技術者をいい、主任技術者とは、3000万円未満の現場に配置する技術者をいいます。

管工事は、建物の建設スケジュールに左右されます。
管の位置は施工図に記載されており、必要な位置に「孔」を確保していかねばなりません。通す管の種類、太さによって孔の径や形状をチェックします。水道、ガス、空調などの用途によって管の径や材質が変わってきます。その手配も重要です。管の材質によって工法を変えることもあります。また、他の工事の進捗状況に応じて、管工事の進捗を調整することもあります。

資格の取り方
管工事施工管理技士試験には、学科試験と実地試験があります。
1級、2級ともに学科試験(マークシート方式)は機械工学等、施工管理法、法規。実地試験(記述式の筆記試験)は施工管理法です。

管工事施工管理技士資格試験を受験するためには1級、2級ともに学歴と実務経験の年数によって受験資格を規定しています。2級の受験は、大学の指定学科卒業生は1年以上の実務経験で受験できます。指定学科とは土木工学、都市工学、衛生工学、及び電気工学に関する学科等があります。それ以外の学科卒業生は1年6か月以上の実務経験が必要です。2級の試験日は11月中旬(学科試験と実地試験が同一日)、1級の試験日は学科試験が9月初旬、実地試験が12月初旬に行われます。

受験資格等詳細は一般財団法人全国建設研修センターのホームページを参照ください。

資格取得を目指す人への強い味方

施工管理技士に向いている人

土木施工管理技士にふさわしい人

土木工事は形になって地図に残ります。
上空から撮影したGoogleマップで確認することもできます。カーナビにも出ます。数十年後、100年後にも残っている可能性は高く、そういう大きなことをしたい人に向いています。土木工事のスケジュールは短くても月単位であり、年単位の大型プロジェクトも少なくありません。


資材や土木機械の調達、現場作業員の確保、天候の変化を見ながらの進捗管理という土木施工管理技士の仕事は、複雑なジグソーパズルを解くのに似ていると言われ、精密な判断力が必要です。たくさんの場所に行き、多くの人と会うことになるので、好奇心旺盛な社交的な人が向いています。

電気工事施工管理技士にふさわしい人

電気設備は心臓の働きに似ており、電気工事とは建築物にエネルギーを吹き込む仕事です。施工計画の作成に始まり、工事の進捗管理においては細部まで見落とさない注意深さが必要となります。

電力会社などとの折衝や、管工事などの他の建築部門との交渉ごともあるので、コミュニケーション能力も必要になります。竣工から遡って現在の工事の進捗を割り出す計数能力も欠かせません。

ビルや工場には電気設備が必須であり、その電気工事を行う必須人材が電気工事施行管理技士です。
つねに強いニーズのある資格であり、転職でとても有利になります。取得することによる収入増も大きく、150~300万円も年収を伸ばすことができます。とくに一級電気工事施工管理技士への評価は高く、1000万円近い年収を得られることも少なくありません。

管工事施工管理技士にふさわしい人

工事の全体を見渡す俯瞰的な視点は、どの種の施工管理技士でも必要ですが、管工事のミスは取り戻せない致命的なものになるので、施工図との照合だけでなく、配管そのものの構造をイメージして工事するセンスが必要となります。

2014年には管工事のミスによって豪華マンションを廃棄せざるを得ないという事件もおきています。
この事件は、東京・青山の「欠陥億ション」で水道管などを通す「孔」を設けていなかったことが原因で「孔」を設けるのは建築中に限り、完成したコンクリートと鉄筋の躯体に後から「孔」を通すことはできません。

管工事施工管理技士は、冷暖房、給排水・給湯、ダクト工事、浄化槽、ガス管など「管」に関わる工事の一切を請け負えます。企業からは資格手当として、1級で1万円、2級で5000円程度の手当が支給されることが多いです。
転職でも管工事業者や建設企業への就職が有利になり有資格者の需要は多く、定年を迎えた方でも採用をしている企業も多くあります。

現在は大型商業施設の建設ラッシュが続き、今後、古い耐震基準で建設された1960~70年代、80年代初頭のビルの立て替えが増大していくことに伴い、管工事施工管理技士のニーズは一層高まるものとみられます。

ハードな部分もあるけど成長・やりがい・安定も得られる資格

いずれの施工管理技士資格においても待遇面の向上に加え将来性も十分と言える優良資格です。

ただ、大変な面があることも事実です。建物あるところ全てが職場であり勤務地がなかなか安定しません。また大規模プロジェクトは複数の会社が協力して進めるため、自社案件に限らず技術者として全国に駆り出されることは多いでしょう 

現場仕事は短くても数か月単位となり、長ければ2~3年かかることもあります。地方や海外になると寝泊りするところがお世辞にも良いとは言えないので住環境をあまり気にしないアウトドア派に向いています。

最近は大手ゼネコンや建設コンサルタントがESGの観点からD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の推進として女性技術社員の積極的登用にあたっていますので環境改善にも熱心です。特に建設コンサルタントは業界的にも計画系の仕事と言うこともあり活躍されている女性も多いですね。

それも取組としては素晴らしいことですが、性別に寄らず
・透明性のある評価
・業界初心者に向けた設備の拡充
・ライフイベントに沿った福利厚生
この3つを充実させることでこの業界はもっと魅力的に映ると思っています。

この業界を目指す女性の方は、上記や資格取得支援など教育環境の充実度合いで会社選びをしていくと長期的なキャリア構築が容易になっていくはずです。

あおみ
あおみ

今回はグリーンエンジニアリングの主役『施工管理技士』資格についてまとめてみました。
取得の仕方に記載の通り、資格取得には大学での専門や実務経験が必要となってきますのでなかなか文系出身者の方や関連する学部以外の方が目指すにはハードルが高い資格です。

ですが、全員が関連学部出身者か、と言えばそうではありません。最近では社員の育成に積極的な新興勢力的な建設関連会社も出てきました。一度取得すれば、成長・安定・やりがいが求められるグリーンエンジニアリング系最高峰資格、理系もそうではない方も是非目指されてみてはいかがでしょうか。

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