【資格集】大地を守るグリーンエンジニア『土壌汚染調査技術管理者』

本記事では大地を守るグリーンエンジニア『土壌汚染調査技術管理者』資格の活躍事例や取得の仕方について解説しています

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土壌汚染調査技術管理者とは

土壌汚染調査技術管理者は土壌環境分野における難関国家資格です。

土壌汚染のプロフェッショナルとして、法整備がますます厳格化する中で調査ニーズは常に一定に推移しており、国内に限らず海外においても土壌の問題は山積みであり、サステナビリティの世界において活躍のチャンスが広がっています。

2003年2月15日に施行された土壌汚染対策法に基づく指定調査機関は、土壌汚染状況調査等の技術上の管理をつかさどる者として技術管理者を選任し、土壌汚染状況調査等に従事する他の者を監督させなければならない、と定められました。

土壌汚染対策法は、土地の土壌汚染を見つけるための調査や、汚染が見つかったときにその汚染によって私たちの健康に悪い影響が生じないように土壌汚染のある土地の適切な管理の仕方について定めている法律です。この土壌汚染対策法は2010年4月1日に大幅な改正が行われ、世の中で土壌汚染に対する関心は高まり、いろいろな課題が明らかになりました。

土壌汚染対策法の仕組み
(出典)土壌汚染対策法の仕組み 環境省

これらの課題の解決に向け、①調査のきっかけを増やす、②健康リスクの考え方を理解してもらう、③汚染土壌をきちんと処理してもらう、ことを目的として、土壌汚染対策法の改正法が成立し、 改正法に伴って資格が生まれました。

土壌汚染調査を実施する技術管理者は環境大臣が実施する試験に合格し、環境大臣が交付する技術管理者証の交付を受けた者であることが必要になりました。この資格が「土壌汚染調査技術管理者」であり、環境省が管轄する土壌汚染関係で初の国家資格なのです。

下記のグラフは環境省が発表した年度別の土壌汚染判明事例件数の推移ですが、環境問題の意識が高まっている現代にあっても土壌の問題は増加傾向となっています。

土壌汚染対策法の施行状況

土壌汚染調査技術管理者の働き方

法律で定められた土壌汚染調査のプロ集団である指定調査機関は以下の場合に調査を実施します。

1) 特定有害物質を製造、使用または処理する施設の使用が廃止された場合

2)土壌汚染による健康被害が生ずるおそれがある場合

土壌汚染の調査は、過去の土地利用と履歴を文献資料等で確認する地歴調査から始まります。これをPhase1とも言います。その次の段階として現場調査があり、地歴調査で判定した汚染可能性のある場所の土壌サンプリングを実施します。現場で行う土壌調査はまず初めに概況調査で平面的な汚染範囲を把握し、詳細調査で深度方向の汚染範囲を把握することで、汚染の有無と全体像を把握します。さらに、個別調査や詳細調査で汚染の存在が確認された場合には、Phase3の対策工事に進みます。対策工事では重機を用いて大掛かりな土壌の入れ替えを行ったり、薬剤や植物の力を借りて汚染物質を除去していきます。

土壌汚染の調査

マンションディベロッパー、不動産仲介会社、信託銀行などからの依頼を受けて、土地利用履歴・利用状況をヒアリングし、土壌に含まれる有害物質を調査して報告書にまとめます。対象となる土地の利用履歴・利用状況のヒアリングを元にして、汚染状況に関する仮説を組み立て、必要な実験・調査とその検証を行い、土壌状況に関する正しい考察を行います。

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資格の取り方

土壌汚染調査技術管理者になるためには、土壌汚染調査技術管理者試験に合格しなければなりません。

受験資格はなく、年齢、学歴、実務経験などに関係なく受験できます。ただし、有害化学物質に関して化学式などを問う問題も多く、化学を学生時代に専攻している人でなければ苦戦を強いられるでしょう。
合格しても実務経験3年がないと「技術管理者」の登録ができません。また試験合格から1年以内に登録できなければ試験合格は無効となります。

試験は午前と午後に別れ、択一式マークシート方式で行われます。午前(2時間)に35問、午後(2時間)に45問の計80問で行われ、52問以上(正解率65%以上)に正答することが求められ、合格率は10%台で推移しており、国家資格の中でも難関試験といって間違いないでしょう。

土壌汚染調査技術管理者試験について、環境省HPよりご確認ください。

土壌汚染調査技術管理者に向いている人

あおみ
あおみ

環境分野はいくつかの専門分野に分かれますが、その中でも土壌汚染のプロとして成長したいという意欲を持つ人にはこの資格です。技術資格ではありますが、実地調査などは協力会社が行うことも多く、外部との調整などコミュニケーションにおける折衝力が求められます。

サステナブル・環境の業界においての活躍

日本はユーラシア大陸東部に位置する島国であり、国土は37万8000平方キロメートルと世界第60位の広さで、山岳部が多いです。利用できる国土は狭小で日本最大の平野である関東平野でも1万7000平方キロメートルであり、土地の価値が高いという特徴があります。土地の売買等に際して土壌汚染の調査・浄化を担うのが、土壌汚染対策法に基づく指定調査機関であり、環境大臣の指定を受けるために必要なのが土壌汚染調査技術管理者ですが、資格取得者は足りていないのが現状です。2022年7月で国内の指定調査機関数は688、事業所数は838あり、ここ数年で微減しているため、土壌汚染調査技術管理者のニーズはますます高まっています。

実際にこの資格を取得することができれば、土壌環境分野に携わる限り、環境コンサルタントや建設コンサルタント会社において、まず求人がなくなるということはないでしょう。難関資格に見合う待遇や安定性を手に入れられる資格です。一方でこの資格を持って転職をされたい方の多くは現場勤務や出張など働き方に関するものが相談事例としてはほとんどでした。その場合でも、コンサルタント会社によってオフィスワークが中心であったり移動の少ないポジションなど最近では柔軟性が増していますので、より良い雇用寛容を求めて転職するのも1つです。

海外における活躍

土壌汚染は人の健康に大きな影響を与えます。健康を脅かすリスクは土壌に含まれる有害物質が地下水に溶け出して、 その有害物質を含んだ地下水を口にすることによる地下水等経由の接種リスク(井戸水の摂取などが挙げられます)と、土壌に含まれる有害物質を口や肌などから直接摂取することによる直接摂取リスク(子どもの砂遊びなど)の2種類に分かれます。

井戸水

土壌汚染に関する問題とは、土壌汚染が存在すること自体ではなく、土壌に含まれる有害な物質が私たちの体の中に入ってしまう経路(摂取経路)が存在していることです。もともとの土地の性質上、人体に有害な金属物質の含有量が高いということはよくある話です。土壌汚染対策とは、この経路を遮断するものであり、経路さえ適切に遮断できれば有害物質が私たちの健康に影響を及ぼすことはありません。

しかし世界にはこのような法律や対策知識がまだ未整備なエリアは途上国を中心に数多く存在し、世界的に見れば土壌汚染による健康被害は増加しています。国外に目を向ければ、土壌汚染の専門家の活躍は無限に広がっていると言っても過言ではないでしょう。また、資格者の多くの方が国内業務のエキスパートですので、語学力を備えた土壌の専門家と言うのは非常に希少です。

あおみ
あおみ

これからの時代、ますます活躍の可能性が広がっている土壌環境のプロフェッショナル「土壌汚染調査技術管理者」をあなたも是非目指してみませんか?

試験は相当難易度が高いので、おススメの講座や参考書もご紹介しておきます。

公害防止管理者などの環境系資格を取り扱っている一般社団法人産業環境管理協会にて資格セミナーが毎年開催されています。

参考書については多くの書籍が出ていますが、環境省の土壌汚染対策ガイドライン

この資格が活かせる仕事の待遇面も下記サイトを参考に是非ご覧になってみてください。既にお持ちの方はコンサルティング職へのキャリアチェンジも検討されてみてはいかがでしょうか。

資格を活かした就職・転職がしやすいお勧めサイト一覧

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