【20代編】サステナブルなキャリア事例・相談事例

相談事例20代編

サステナブルな仕事って具体的にどんなものがあって、どんな人が働いているんだろう。関心を持たれた方は本記事をご覧ください。これまで実際にキャリアカウンセリングを行った方たちのキャリア事例や悩み、ご相談事を、本人のご了解を得て匿名で掲載しています。

20代編では主に社会人歴2~8年あたりの方々のキャリア事例やご相談事例を掲載しています。もともと大学で専攻・研究していた内容から現職に至った経緯、そして今の仕事内容をまとめています。Caseによってはキャリア相談も併せて載せていますので、関心のある仕事の実際に加えて、その業界・仕事特有の悩みも知る参考となっています。

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Case1. 社会人3年目 再生可能エネルギーの調査・コンサル 

プロフィール画像

今の仕事
大手建設コンサルタント
環境・エネルギー部
大学時代
学歴 :国立大学 修士
専攻 :理学研究科生物地球系専攻

今の仕事

大手建設コンサルタント 環境・エネルギー部

環境省や経済産業省のプロジェクトで主にや省エネや再エネに関する調査を担当。民間企業の省エネ・再エネ普及の実態を調べたり、促進の支援に関わっています。バイオガスや小水力などの新しい再エネ電源の現場に伺って調査や技術の方とお話しすることも多く、エネルギーの第一線で働くことで力がつけられている実感もあります。リサーチ仕事や省庁から受託した事務局業務はほとんどがデスクワークで書類とにらめっこする毎日です。

悩み

プロフェッショナルになれるのか不安

大学時代はどちらかと言うと自然科学や生物系の研究でしたが、環境問題は全般に興味がありました。就活でも環境のコンサルタントを目指して経営コンサルタントやシンクタンクも受験していました。今の仕事もサステナブルな社会に重要なエネルギー分野に関わる仕事でやりがいはある一方で、出会う方々は土木や電気のエンジニアが多く、自分がこの分野でプロになっていけるのかという不安があります。会社全体でも特に売り上げが伸びている部署なので異動も伝え辛いのが正直なところです。

あおみ
あおみ

counselingメモ

何かの分野のプロになる、ということを働く上での大切な価値観にされているのですね。電気や機械的な知識は敵わなくても若くして官庁のプロマネや自治体との交渉、有識者とのコネクションを得ていることは財産です。留まるにしても転職するにしてもコンサルタントとしての力は間違いなくついていますよ。

Case2. 社会人5年目 エシカルコスメの販促・企画

今の仕事
エシカルコスメブランド
販促・企画
大学時代
学歴 :国立大学 修士
専攻 :農学部生物資源科学

今の仕事
エシカルコスメブランドの販促・企画
生産から調達まで一貫してサステナブルに配慮してつくられたエシカルコスメブランドを展開するベンチャーで、店頭での販売からECサイトでの企画を主に担当しています。もともと理化学系のバックボーンがあったので、店頭販売時の接客や社員教育でも科学的な効能を伝えることができたり、製品開発の現場にも出て、実際の消費者の声や反応を研究サイドに届けることができるのでやりがいを感じています。材料の原産地に出張することも多くて、現地の人とコミュニケーションをとることで、販促企画のストーリー展開をどうするかなど毎日考えています。

社会人になってからの学び
大学院で植物由来の成分が生理的、心理的にどのような影響を与えるか研究していて、新卒では香料メーカーの研究と品質管理の仕事を3年経験しました。それが今の仕事に大きく繋がっていると思っています。当時は消費者の顔が見たい!という思いが強くて転職しましたが、いざやってみると、今の販促や企画の経験を活かしつつ、さらに研究がしてみたい、博士論文にもチャレンジしたい、という気持ちが芽生えてきました。自分の頭はやっぱり研究者寄りなんだなと感じています。社会人になってからもまだまだ学んでいきたいので、両立を実現できそうな大学や先生を探そうと思っています。

あおみ
あおみ

counselingメモ
インプットする学習欲に加えてアウトプット欲も旺盛な前向きな姿勢、見習いたいです!
博論は修論以上に先生との相性が重要ですね。現職であれば大学との共同研究などを持ちかけて先生と繋がっていくことも博論への近道になるのでは?あとは社会人向けのオープン講座も増えていますので積極的に参加されてはいかがでしょう。

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Case3. 社会人5年目 林業政策に関わる公務員

今の仕事
地方管理局(一般職)
大学時代
学歴 :国立大学 修士
専攻 :農学部農業環境科学

今の仕事
地方管理局(一般職)
林業政策に携わる公務員として、1~2年くらいのスパンで色んな業務に携わっています。実際に現場に入って森林整備や木材の生産管理、林道の整備などの土木技術的な仕事のほか、NPOや地域の団体と連携して森林の重要性やそこで生息する生き物たちを知ってもらう生物多様性に関わる教育活動などを経験しました。常に山に入っての仕事となりますので緑や生き物が好きな人にとってはこれ以上ない仕事だと思います。

悩み
仕事内容は面白いが職場には不満
大学で林学(林業政策)を学んでいたので公務員の方や関連する事業者の人たちにアンケート調査の傍らで働き方など色々聞く機会がありました。総合職で入庁すると出世とともに本庁の企画や総務系に異動してどんどん現場から離れていくと聞いたので、出世もデスクワークも興味が持てない自分は一般職で入庁しました。案の定(?)現場で自分なりに仕事が楽しくできています。ただ国内林業は課題が多過ぎて、管理や教育・普及のレベルでは正直解決できないと無力感を抱き始めました。林業に関わって地方の課題も分かってきたので、より貢献の実感が持てるというか裁量があるというか、そんな仕事をしてみたいと思うようになりました。あとビジネス的なスキルに乏しいのでは?と思い始めたのも動機の1つです。

あおみ
あおみ

counselingメモ
公務員の総合職と一般職のキャリアや仕事内容の違いに注目するとは用意周到ですね。スキルについては乏しいとは思いませんが『行政側の発注者』という特異な環境ではありますので、そのまま活かす機会となると確かに限定的ですね。『貢献』や『裁量』という言葉がありますが、これは学生時代にはなかった考えなのでは?仕事への向き合い方が変わったときや課題を見つけた時は、キャリアに一区切りつける機会かもしれません。その想いを実現できる環境を少しづつ探してみてはいかがでしょう。エージェントサービスへの登録でスカウトを受けてみるのも一つですよ。

Case4. 社会人5年目 機械メーカー 事業企画職

今の仕事
上場機械メーカー
農業部門の事業企画職
大学時代
学歴 :私立大学 学士
専攻 :経営学部 企業の倫理的な調達活動について

今の仕事
上場機械メーカー 農業部門の事業企画職
入社後に新設された農業部門で働いています。一応は事業企画なのですが小さな新設部署なので基本的に何でも対応しています。会社の統合報告書に沿って事業部としての中期経営計画の策定を役員クラスと策定するところから始まりました。農業や食に関わるということで、社内でもSDGsのPR的な部署という位置づけで経営層とも近い立場です。現在は海外含めた市場調査、競合調査からWEBサイトの立上げを行って販路の拡大に力を入れています。

悩み
興味のあるベンチャーから誘いが来た
サプライチェーンに関わる様々な方と情報交換するなかで、食品リサイクルベンチャーの社長から「一緒に働かないか」と声をかけてもらいました。事業内容は魅力的で大学時代の研究でも静脈産業には興味があったのでかなり揺れています。ただ今の仕事にも不満があるわけではないのでもし失敗したら後悔しそうです。転職経験もないため何を判断基準にすればよいか悩んでいます。

あおみ
あおみ

counselingメモ
ベンチャー選びは経営者の人柄
社外からのオファーは心が躍りますよね。上場企業からベンチャーへの転身は普通の時代になりました。ベンチャーは代表者の人柄とマッチするかがポイントです。意気投合と思って入ったけど少し働くと人間性が合わず退職、というケースは多いです。ベンチャー経営者は激情型で熱量が大きい人が多く、社員への期待値(要求)もこだわりも人一倍です。心配であれば時間を掛けて人柄を探ってみたり、プライベートでも会ってみるといいですよ。あと人数が何年経っても増えていないベンチャーは要注意です。

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Case5. 社会人2年目 大学助教

今の仕事
大学の環境系学部助教
大学時代
学歴 :私立大学 博士
専攻 :生命環境科学科 土壌微生物の環境浄化に関する研究

今の仕事
大学の環境系学部助教
ストレートで大学院に進学し、企業との共同研究や論文の投稿を続けた結果、博士号を取得でき、母校の環境系学部で助教として採用されました。専門である環境科学の講義以外にも生物多様性など実習も含めて受け持っています。研究科内でも若手ということもあり、分析化学をはじめ生物学系の実験やデータ解析演習などかなり色々任されています。博士課程のころの研究室後輩指導とは、全く違い採点業務や研究科全体の事務庶務業務など任される仕事も多くプレッシャーもありますが、ずっと希望していた仕事なので忙しくもやりがいを感じています。

悩み
契約更新となるか不安
やりたかった仕事ではあるのですが、任期付きで数年ごとに試験を受けなければ続けられません。今回1回目の更新試験は合格したのですが、次の保障はなく、10数年在籍している先輩が突然打ち切られてしまいました。講師や准教授になるためには論文投稿数など研究実績が絶対に必要なのですが、学生指導で時間も限られ十分な時間が捻出できていません。自分の学歴ではアカデミアでキャリアアップすることは難しいかもしれません。もし民間に移るなら若い方がいいという話も聞き何か将来に向けて行動しなければと思っています。

あおみ
あおみ

counselingメモ
念願のポストについたのに、先が見えないというのは辛いですね。もし未練を断ち切れるのであれば民間への転職は十分有りだと思います。機器分析から現場サンプリング、データ解析とマルチスキルをお持ちなので、民間の計量証明や建設コンサル等で十分通用するご経歴に見えます。特に大学との研究や論文投稿に積極的な企業であれば論文執筆が実務として行える場合もありますよ。論文執筆は難しくても転職活動は少しづつなら進められるのでは?時短になりますので転職エージェントをうまく活用してみてください。

Case6. 社会人3年目 再生可能エネルギー事業会社のプロジェクトマネージャー

今の仕事
再生可能エネルギー事業会社
プロジェクトマネージャー
大学時代
学歴 :国公立大学 学士
専攻 :総合理工学部

今の仕事
再生可能エネルギー事業会社のプロジェクトマネージャー

太陽光発電が主軸の再生可能エネルギー事業会社でメガソーラー事業のプロジェクトマネージャーとして働いています。山間部やゴルフ場の跡地に計画される大規模なメガソーラー発電所計画の工事案件を担当し、顧客への提案から工事の管理、納入まで一連のプロジェクト進捗管理をしています。最初は関連設備の営業からスタートしたので建設関係のことはまだ勉強することも多いですが、外注業者の調整や交渉は営業力が活きていると思います。実際に納品完了するまで半年や年単位かかるので、色んなトラブルを乗り越えて出来上がった時の達成感は大きいですね。

悩み
メガソーラーの在り方に疑問

再生可能エネルギーの中でも特に普及が早く、実際に太陽光発電が日本国内の再エネの大部分を賄っている状況で脱炭素に対する貢献度は高いと思っています。でも最近メガソーラーの問題がいろいろ報じられているのを見ると自分の仕事に自信が持てないというか、否定できなくて惨めな気持ちになります。用地を整理するために森林も伐採しますし環境アセスメントや地域住民交渉も十分とは言い難い面も実際あります。大規模開発は今後は少なくなるので問題も減るとは思いますが一方で会社や業界の将来性も不安に思えてきました。

あおみ
あおみ

counselingメモ
私もメガソーラーのアセスに携わったのでお気持ちは分ります。普及当初は事例も少なく住民も開発側事業者側も影響をそこまで把握できていませんでしたが最近は様々な事故も実際起きているので事業者は大変でしょう。太陽光はメガソーラーは運転管理がビジネスの主軸となり、自家消費型の小型ソーラーは国も後押ししていますので今後も伸びていくとは思います。ただ、仕事に自信が持てない、惨めな気持ちになったら残念ですが悪循環しか起こりませんので環境を変化させるときです。その気持ちが仕事なのか、会社なのか、冷静に見極めて今後のキャリアプランを考えてみましょう。

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