【30代編】サステナブルなキャリア事例・相談事例

相談事例30代編

サステナブルな仕事って具体的にどんなものがあって、どんな人が働いているんだろう。関心を持たれた方は本記事をご覧ください。これまで実際にキャリアカウンセリングを行った方たちのキャリア事例や悩み、ご相談事を、本人のご了解を得て匿名で掲載しています。

30代編では主に社会人歴8~15年あたりの方々のキャリア事例やご相談事例を掲載しています。現職に至るまでの経緯、そして今の仕事内容をまとめています。Caseによってはキャリア相談も併せて載せています。30代は能力も高まりキャリアが勢いづいてくる一方で、結婚、出産などのライフイベントもあり、悩み多き世代でもありますので、仕事も含めたサステナブルなワークとライフの関係についても考える参考にお役立てください。

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Case1. 大手金融グループのサステナビリティ担当 

プロフィール画像

今の仕事
大手金融グループ
サステナビリティ推進グループ
大学時代
学歴 :国立大学
専攻 :法学部

今の仕事

大手金融グループ サステナビリティ推進グループ
自社のサステナビリティレポートの制作管理を主に担当しています。関連してESG評価機関や機関投資家とコミュニケーションをとって、彼らのニーズや社会の潮流や踏まえた上で、外部のコンサルティング会社、制作会社と開示内容や方法について検討・交渉を重ね、レポートに反映しています。レポートは国内外で複数のアワードを獲得することができました。必要な情報を収集するために社内説明会やフィードバック会議を実施して項目を取りまとめます。コミュニケーションに割く時間が他の部署より圧倒的に多いです。ESGに関する様々なプレゼン資料作成や各項目の説明をしなければならないのですが、これまでの部署異動の経験が活きていると思います。

悩み

部署異動の不安

最初は法務部、その後に総務、経理、営業を経て今に至っていますが、自分としては、サステナビリティが今までの経験の集大成的な感覚もあり、これまでの経験があったからこそ社内でのコミュニケーションや情報収集も円滑にできたり、財務情報と連動した企画提案もできたと思っています。ただ会社は部署異動を頻繁に行う企業体質なので、また1~2年後には別の部署に異動になることは間違いなく、次の仕事をまた心機一転でやれるか正直不安です。会社自体は好きですが、自分の将来のキャリアを考えるとサステナビリティの専門性をこのまま伸ばすために会社を離れることも考えなければいけないのかと思うと少し憂鬱な気持ちです。

あおみ
あおみ

counselingメモ

サステナビリティを経験したことで、今までのキャリアの総括がご自身のなかで出来たゆえのお悩みのように感じます。『計画された偶発性』という偶然の出来事や出会いをキャリアアップにつながる機会と捉えるキャリア論がありますが、相談者さんのこれまでのキャリアも当てはまるのではないでしょうか。まずはやってみようというスタンスで道が切り開けることがあります。人事に行けば人的資本、経営企画に行けばガバナンスとESGテーマがサステナビリティに関わったことで見えてくるはずですし、むしろ専門は高められるかもしれません。仮に転職を選んでもコンサルや同業で十分通用するご経歴ですのでご安心を。

Case2. エンジニアリング会社 サステナビリティ担当

今の仕事
エンジニアリング会社
サステナビリティ部門スタッフ
大学時代
学歴 :私立大学 修士
専攻 :先進理工学部化学科

今の仕事
エンジニアリング会社のサステナビリティ部門スタッフ
石油や化学プラントを手掛けるプラントエンジニアリング会社でサステナビリティ担当として働いています。ESG情報開示やレポート作成的な仕事ではなく、新規事業企画の色が濃い仕事です。業界全体でプラント以外の事業を打ち立てることが急務となっていて、再生可能エネルギーや脱炭素製品のモノづくりや研究など、会社全体のリソースはもちろん、異業界とのアライアンスも積極的に模索して、新規性の高いプロジェクトをたくさん発掘することが今のミッションです。自分が化学出身ということもあり、石油由来からバイオマス製品に転換する企画に今力を入れていますが、大学の恩師や関連学会にも参加したり、サステナビリティ担当の名刺を持ったことで今までとは全く違う世界の人たちと関われて刺激があります。

新しいことへのチャレンジ
現職はもともとエンジニアとして働いていて、中東や東南アジアで石油プラントの設計や調達をしていました。それ自体にはやりがいも感じていましたが、『脱炭素』の社会の潮流の中で、今のままで会社も自分もいいのか、という気持ちも少しづつ芽生えてきました。そんな中で新たに立ち上がった部署で、まさに今の時代の『サステナビリティ』だったのでとにかく飛びついた、という感じです。ただ入ってからサステナビリティのカバー範囲の広範さを知って、面白くも難しいな、と思っています。

あおみ
あおみ

counselingメモ
石油業界は脱炭素の時代、社会から向けられる目も厳しくなっていますので、ビジネスのトランジション(移行)が強く求められていますね。
正解や前例がないサステナビリティに取組むために必要なものは「勇気」なのかもしれませんね。相談者さんはそんな状況も面白がって取り組める方ですので適性はバッチリではないでしょうか。

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Case3.  東京都の自治体職員

今の仕事
東京都の自治体職員
大学時代
学歴 :国立大学 学士
専攻 :社会学部 地方自治体における環境貢献活動の事例調査

悩み
全く希望の仕事ができない
大学時代に自治体の環境部の方とお話しする機会があり、自治体が取り組む支援策に関心を持ったことで東京都の自治体職員の道を選びました。もちろんすぐに環境問題に取り組める部署には移れないとは思っていたのですが、区内企業の行政手続きが中心の出先機関に配属となり10年近く経ちますが一向に希望が通りません。書類仕事で企業の方と直接触れ合う機会もないためやりがいも感じられません。何かしらの専門性が身についたとも言えず、今更ながらこんな人生で良いのかと悲観的になってしまいました。

あおみ
あおみ

counselingメモ
希望のキャリア設計が立てられないことは多少覚悟もあったのでしょうが実際辛いですね。不安があまりに強いなら決断の時期かもしれません。ただやりがいの点はさておき、労働環境で見れば恵まれた職場です。ライスワークとライフワークという言葉がありますが、企業体の活動だけが環境や社会貢献ではありません。完全に割り切って外の世界、つまり消費者や生活者としての形で関わり方を模索されてみてはいかがでしょうか。そこで公務員以外の人たちとたくさん交流してみましょう。視野が広がり新しい気付きもあるはずです。専門性がないわけではありませんし転職はそこから考えても遅くはないですよ。

Case4.  化学メーカーの技術営業職

今の仕事
化学メーカー
環境配慮・SDGs対応製品の営業
大学時代
学歴 :国立大学 修士
専攻 :工学部工業化学科

今の仕事
環境配慮・SDGs対応製品の営業
研究開発に力を入れていることで業界内でも有名な化学メーカーで、環境配慮やSDGsを意識した新規製品の技術営業職として働いています。ウォッシュとならずSDGsに対応するためには自社内でこもっているだけではなく社外との交流や連携が必要不可欠ですので、顧客はもちろん、競合他社とも情報交換をしてトレンドを掴み、開発部門に役立つような情報を提供しています。もともと化学のバックグラウンドがありますので顧客とその場である程度の技術の話ができる点は自分の強みだと思っています。化学業界は動きが遅いと言われますが、最近は顧客からもSDGsに対応するための相談も受けたりするので時代の流れを感じますね。

悩み
化学以外の武器を身に着けてキャリアアップしたい
化学製品と言えば環境負荷を減らすみたいな次元からSDGsになったことでESGリスクと経営の領域にも自然と目が向くようになりました。自社でも環境部が最近サステナビリティ部に格上げされて、より広範な分野のベテランが集められたスペシャリスト集団みないな感じで少し憧れます。自分の知識は製品以外は労働安全衛生法や化学に係る環境関連法(PRTR、化審法、海外のREACH規制やRoHS指令)くらいなので、今の技術営業の仕事の先を考えた時に、サステナビリティやESG全般に対応できるようになれたらキャリアアップできるのかな、とか気になっています。

あおみ
あおみ

counselingメモ
ESG全部に対応できる必要はありません
SDGsの製品企画や営業の現場最前線で働いて、かつ守りとなる法律知識も一定備えている時点で素晴らしいご経験と思います。ESGはそもそも一人で対応するものではなく、社内で統合報告書をまとめる際にも経営から財務、広報、購買など関連部署から情報を集めるようにそれぞれが分担するものです。コンサルタントでもESGそれぞれのスペシャリストがチームを組んで適宜対応します。もし始めるなら、E(環境)の幅を広げてエネルギーなどにも関わってみたり、あるいは労働安全衛生知識に絡めてS(社会)を習熟させるなどいかがでしょうか。

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Case5.  保険営業職

今の仕事
保険営業職
大学時代
学歴 :国立大学 学士
専攻 :環境学部環境科学科

悩み
サステナブルな仕事に転職したいが経験がない

大学では文系寄りでグローバルな環境問題や政策について学んでいました。当時は環境に仕事で直接的に関われるものがあると知らず、今でいうサステイナビリティボンドのように環境問題への投資ファンドが立ち上がりだした時期でもあって、投資活動を促すことで環境や社会課題へお金を回すこともできて間接的な貢献は出来ると思い保険営業を選びました。ただ最近はサステナブルや気候変動に仕事で直接的に関われる仕事も増えてると聞いて、実際に求人を見たりするとすごくテンションが上がってしまいます。でも自分自身がサステナビリティや環境の知識があるわけではないので。家族からは好きな道を選べば、といってもらっているんですが、いざ行動しようとすると自分なんかで通用するのか躊躇してしまいます。

あおみ
あおみ

counselingメモ
金融の力が社会課題に与える影響力にいち早く目を着けられていたんですね。転職は思い切りやタイミングが大事ですから、活動すること自体は続けるとして、今の職場環境を活かしてスキルを磨くことも並行して進められては如何でしょうか。大手保険グループは商品設計のため気候変動や社会課題に関する調査・研究チームがあって、調査レポートも頻繁に発行しています。それらを熟読するだけでもESGや気候変動に金融の視点で大分詳しくなれます。転職をするにしても、専門を身に着けたいというだけではなく、置かれた環境下で最大限の努力をしたうえで、異動が通らない、もっと専門を磨きたい、と言えるのでは印象も大違いです。

Case6.  サステナビリティコンサルタント

今の仕事
サステナビリティコンサルタント
大学時代
学歴 :私立大学 学士
専攻 :地球環境科学部

今の仕事
サステイナビリティ支援をトータルで対応

サステナビリティコンサルタントとして、CSR・サステイナビリティレポートの企画・制作から、サステイナビリティやESGの外部評価(CDP、DJSI、FTSEなど)向上の支援を中心に取り組んでいます。一口にサステイナビリティコンサルと言っても、制作や開示、戦略支援、社内外のエンゲージメント施策実行など多岐に渡りますので、大手コンサル会社ですと仕事も分業化していて良い面もあるのですが、トータルで対応できるコンサルタントを目指すには不向きだったりします。現職は小規模な企業のため上流から下流、大手がやらない小さな相談まで幅広く対応できるので、経営者や担当者さんとも距離が近く、本当の意味でクライアントワークができているな、と実感しています。

悩み
ありがたいことにサステイナビリティのコンサル業界は現在受注がどこの会社も好調でどんどん仕事が増えています。なので業界内でも優秀な人材を取り合っている状況です。同じくポテンシャル重視で未経験の人材も入ってくるのですが、コンサルタントになるには時間がかかり、お客様から『最近はよく分からないサステナのコンサルが増えた』と苦情めいた話も聞きます。私がこの業界に飛び込んだ時は、英語力とサステナへの何かしらの知識や関心があればチャレンジできて現場で経験を積みながらキャリアアップできたのですが、今は顧客の要求も厳しくなっています。業界全体が成長期なので仕方のない部分もあると思いますが、人材育成と採用は業界全体での課題ですね。

あおみ
あおみ

counselingメモ
未経験からのチャレンジは職場選びが重要!
ご自身にマッチした職場環境に巡り合ってコンサルとして大活躍されていらっしゃいますね。
確かに、一昔前はサステナビリティのコンサルタントと言えばほんの一握りのプロ、という感じでしたが最近ではベンチャーや若てコンサルもどんどん前に出てきている印象です。日本はコンサル偏重なところがありますが海外企業では事業会社のご担当者さんの方がプロのケースの方が多いので、コンサル業界だけでなく事業会社内でも長期のキャリア形成環境を確保することが課題解消に必要な気がします。

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